クリプトスペルズをちょっとだけ遊びました:前編
☆この記事で語られている内容は2021/12上旬のお話です☆
数年前、「カードの存在枚数が限られているカードゲーム」として話題になり色々あって炎上し、ひっそりと闇に溶けていったゲームがありました。
が、それが暫くして見事な復活を遂げていたことをご存知でしょうか。
私は最近知りました。
というわけで、NFTカードゲーム「クリプトスペルズ」です。
最近一部でNFTアートが話題になったりして、特に情報を集める気がなくてもNFTに関しての基礎知識をぼんやりと植え付けられていた私は、ふと再会したクリプトスペルズの枕詞に「NFT」がついているのを見て「あっこれかぁ!」となりました。
当時マジで意味不明だったものが、実際にどういうことをしたかったのか、というのがNFTの知識を齧ったことによりようやく理解し。
・復活後はなんやかんやきちんとサービスが続いている
・当時炎上した際の色んな問題は結構解決されている
・ユーザー主催のコミュニティ大会が定期的に行われている
少し調べると以上のような状況が分かったので、一周回って興味が湧いたのです。
で、プレイするだけなら無課金でも触れるとのことではありましたが、NFTカードゲームという独自の枠組みを体感するのであれば流石にそれで遊んでも仕方ないだろうということで。
仮想通貨の口座も開設し、ETHを買ってゲーム内通貨に変え、プライム会員になっていざクリプトスペルズに飛び込んでみたのが12/3の出来事。
まだ1週間も経ってないのに何を語るんだよと思われるかもしれませんが、逆にクリプトスペルズを少しだけ遊んでみたカードゲーマーが感じた第一印象、という観点で読んでもらえればなぁと思います。
とにかく、面白さや発見はあったので感じたことや考えたことをまとめたいなと思い、こうして体験記を書いています。
長くなりましたがここまで序文。
申し訳ありませんが、NFTとはなんぞや、クリプトスペルズって何なのか全く知らないよ、という方への解説に関してはここではしません。
どちらもよく知らない方は「ほーん、なんかまた新しいゲームに手を出して辞めたんやなこいつ」くらいの感覚で流してくれれば幸いです。
結論だけ最初に言っておくと、結構面白かったし悪くはないと思いました。
体験レポート
1.プライム会員になるまで
プライム会員になる方法は、ゲーム内通貨「SPL」を1000払うか、クレカ決済で$4.99払うかの2通り。
ただ、前者の方法でプライムになるとデイリーボーナスで35SPLが還ってくるため、ログインするだけで元が取れるし前者の方がお得。
もっと言えば、ゲーム内通貨なので無課金でも暫くしたら加入できます。マンスリーミッションを丁寧に全てこなすと1ヶ月で800SPLもらえるので、2ヶ月弱かからずにプライムになることも可能。
ただ折角だし私の場合は最初からプライムで始めたかったし、資金ゼロで参入してもトレードの類を一切体験できないしな…と思ったので、まずSPLを購入してみることにしました。
SPLを買うのに必要なのは仮想通貨のETHです。
購入の最低単位が5000SPLで、お値段0.05ETH。
この記事を書いている2021/12/09現在のレートがざっくり1ETH=50万円前後なので、0.05ETHは2万5千円程度ということになりますね。
すると1SPL=5円程度の価値、ということになりそうですが……そう単純でもないので、これに関しては後編で。
ということで私はコインチェックに口座を作って、クリプトスペルズに仮想通貨を支払うための仮想通貨ウォレットアドオンを導入。
手続きとしては、そこから
コインチェックでETHを購入
→ウォレットにETHを送金(手数料0.005ETH)
→クリプトスペルズで5000SPLを購入(ガス代約0.013ETH*1)
→内、1000SPLを使って無事プライム会員に
という流れでいきました。
手数料とガス代で合計0.018ETH=9千円。
なるほど、数万程度の少額を取引するのに使うもんじゃないですねこりゃ。
ゲーム内通貨の最低購入単位が2万5千円というと普通のゲームの感性ではびっくりしますが、仮想通貨を利用する想定ならむしろ小さすぎるくらいです。
初期投資を回収しようなんて気持ちは一切ありませんでしたが、それはそれとして「この程度の初期投資じゃ少なすぎて何もできんかもしれんな……」という気持ちにはなりつつ、私のクリプトスペルズが始まりました。
2.遊んでみた(フリー・ランク編)
クリプトスペルズのカードのレアリティは、説明が面倒な特殊なものを除くとブロンズ・シルバー・ゴールド・レジェンドの4つがあります。
ゲームを始めると、最初からカードプール全てのブロンズの内の9割程と、数種類のシルバー……の「レプリカ」が手元にある状態になっていました。
レプリカというのは、端的に言えば「一部のレギュレーションでしか使用できず、売買もできない」カードです。尚、ブロンズも売買不可。
所謂NFTとなるのは、レプリカではないシルバー以上のレアリティのカードです。
当然NFTは0からのスタートですが、ブロンズが殆ど揃ってる状態で始められるのはありがたいなと感じました。一通りカードプールを見てデッキを組んでから対戦に臨んでみることに。
クリプトスペルズで常設されているランダムマッチングは、
・常時開放されている「フリー」
・毎日12~13時及び20~21時にのみ開放されている「ランク」
の2つがあります。レプリカはどっちも使える。わぁい。
どちらもレーティング制となっていますが、レートの近い人同士で当たっているのかと言われるとやや微妙な感じ。多分純粋に人数が少ないせいだとは思いますが。
フリーのレートはほぼ意味がなく、また人の多い時間帯にやらなければまずCPUに当たる感じです。
ランクは流石に人間とマッチングします。
ランクでは、月間上位に入賞すると採掘チケット(所謂ガチャチケ)とMCHCという仮想通貨がもらえます。2021/12/09現在のレートで1MCHC=45円くらい。
月間ランク1位の報酬がで100MCHC=4500円くらいですかね。
ちなみに私は今、ランク67位です。
仮にこのままゴールインしたとする10枚の採掘チケットと、3MCHCが手に入ります。
この順位に対して一瞬何言ってんだこいつと思われたかもしれませんが。
これは私がカードゲーム上手男だからではなく、ランクのアクティブ人数が数百人しかいないからです。すうひゃくにん。
尚、私は普通に初期配布のカードでデッキを組んでランクに潜っただけで、実は強いデッキ使ってるとかいうわけでもないです。
確かにルーキーランキングとかいうところにはTOP5に私の名前が載っていますが……(余計な虚栄心を発揮するんじゃない)
10日から開催されるチャレンジカップという所謂「今月の最強プレイヤー決定戦」にはもう少し人が出てくるかもしれませんが、まあそれでもアクティブプレイヤーは1000人に満たないんじゃないかなという気はします。ここは憶測になっちゃってるので、後日補足予定です。
当然ですが、ランクマッチにカード制限とかはないのでゴールドレアを沢山使う人とかともマッチングしますし、似たような初期プールしかない人ともマッチングします。
ゲーム性やゲームバランスに関しては後述しますが、私の戦績は初期プールミラーだと9割勝ち、高レアデッキには7割負け、みたいな感じ。
具体的には、参加した5日間のランク戦績は37勝29敗でした。
まあそこそこ勝てて十分楽しめますね。
3.ギルドに入る
このゲームには5つのギルドが存在し、ユーザーはそのうちのどれかに所属することが推奨されます。特に所属するデメリットはないし、何かノルマを課されることもないので特に所属に関してストレスはありません。
毎月ギルド対抗のバトルが開催され、その順位に応じてギルド単位でSPLが与えられます。そしてこのSPLは主にギルドバトルに参加したメンバーに配布される…という感じ。ただ、このSPLの使い道に関してはギルドごとに委ねられていてある程度自由度があるため他の用途にも使われてたりもします。初心者支援とか。
ギルドバトルに参加するにはその月のチャレンジカップでギルド内上位に入ることが条件になります。最終的に参加資格があるのは各ギルド30名。
要は、ギルドという枠組みのユーザーコミュニティがあって毎月対抗戦がありますよ、初心者に対してもみんな優しいよ、という話です。
(まあ優しくしない理由がないので、というのはさておき)
仕組みは説明したものの私はまだ適当にギルドに所属しただけで特に語ることはないので次の項へ。
4.遊んでみた(コミュニティ大会編)
コミュニティ大会はユーザーが運営に申請する形になっていて、承認が降りるとゲーム内で大会用のマッチング部屋が作成され、開催時間に開放される仕組みになっています。
使用可能カードのレギュレーションは主催が決めることができ、順位は基本的にレーティング制で決まる形。ランクと一緒ですね。
これは小規模なゲームだからこそできるなかなかフットワークの軽い仕組みで、新鮮かつ面白そうに感じました。
景品に関しては主催ユーザーが報酬のカードを用意したり、主催ギルドが所有しているMCHCやSPLを上位者に配布したり、といった形を取ります。MCHCやSPLに関しては、ユーザー間でやり取りできるわけではないので運営経由で贈られる仕様。
レギュレーションや報酬はさまざまですが、ざっくり月10個以上のペースでこういったコミュニティ大会が開催されています。凄い。
といったところで実際に幾つか参加してみました。
そのうち、12/6のシルバー杯(文字通りレアリティシルバー以下制限)の大会でギルド内3位になり、商品で3MCHCを貰えることになりました。ヤッター。
尚、参加者は96名。まあ報酬が特別凄いわけではないので、カードゲームがしたい人間以外は参加してこないというのはありそう。
5.マーケットでカードを買ってみた
このゲームにおいて、ゴールドとレジェンドのカードを手に入れる手段は主に2つ。
1.他のユーザーから買う
2.運営が販売したカードを買う
1について。
ゲーム内でトレードの仕組みがあるので、他のユーザーが出品したカードをSPLで購入することが可能です。まあ当然、強いカードや希少なカード程高い。
ちなみに有用かつ希少なゴールドは1万SPLを優に超える感じ。
レジェンドが出品されることはまずありません。まあ手放さないよね。
ゲーム外の仕組みで取引されることもあります。こちらはSPLではなく、日本円や仮想通貨で売買されている模様。
現金化するならこっちで取引する必要がありますね。
2について。
月に2回ほど、運営側から1枚新規カード(ゴールドorレジェンド)が公開され、予告された時間からSPLで販売が開始されます。
対象のカードは2週間の間販売され、期間が終わると二度と再販されることはありません。NFTの価値の保持のためですね。
ゴールドの在庫は999枚、レジェンドは19枚となっていますが、最終的にゴールドの発行枚数は100弱~200程度で収まることが多いようです。レジェンドは売り切れる。
他に、大会で上位入賞することなどでゴールドのプロモが貰えたりします。
閑話休題。
先日からセール開始したカードが割と強いなと感じたので、折角だし買ってみることにしました。
買うことにしたんですが……ここで、クリプトスペルズのカード販売に関して公式のヘルプより引用。
クリプトスペルズにおけるカード販売は、在庫連動型ダッチオークション方式です。
在庫連動型ダッチオークション方式では時間の経過によって価格が下落し、購入されるたびに価格が上昇します。
スタート価格、上昇幅や下落のストップ額など細かいルールは色々補足されてるんですが、要は「需要があるカードはガンガン購入されてその度に値段が上がっていくよ」ということです。
しかしこれ、実際に参加してみるとなかなか原始的な争いでした。
以下、実際の様子です。
セール開始!
購入する! → 他のユーザーがカードが購入し価格が更新されました!
購入する! → 他のユーザーがカードが購入し価格が更新されました!
購入する! → 他のユーザーがカードが購入し価格が更新されました!
購入する! → 他のユーザーがカードが購入し価格が更新されました!
……
以下無限ループ。
更新後の価格で自動的に購入してくれるなんていう機能はなく、その価格で最初に購入ボタンを押せた1人だけが購入に成功するシステムだったのです。
完全に早押し目押しのバトルですよ。
いや、実はまあ目押し対決であることは事前に調べていたので知ってましたし、購入ボタンと確定ボタンを瞬時に目押しするからスマホの方が有利とか、そういうのも聞いた上で臨んだんですが……すごかった。
何故こういう仕組みになってしまうのか分からないでもないので、良い悪いの評価はしづらいですが、流石に面食らいました。
ちなみにこれ、1枚ずつしか買えないし1枚買えたら1分間は再購入できないという制限がされていて、「買い占め防止」という観点ではよくできていると思います。
結局、2400SPL程でスタートしたセールですが私が買えたのは4500SPLくらいのタイミングでした。ウーン。
私が購入した後も値段は暫く上がり、5700SPL辺りで頭打ちになってそこからは緩やかに下降を続けています。2枚目は買いたくてもSPLがもうない。
まあそこそこ強いカードだと思うので、損はしてないとは思いますが……
完全に引退を決めたらこのカードをどっかで放出するので、その結果も後日追記したいですね。
以上。
5日間で私がクリプトスペルズで体験したことについてざっくり書いてみました。
後編ではここまでの内容を踏まえて、レポで書かなかった細かいところについての補足をしつつ以下の内容について考えてみたいと思っています。
・このゲームで稼げるのか、そして未来はあるのか
1.採掘チケット(ガチャ)について
2.カードの価格について
3.カード価値の担保に関して
4.ゲーム内通貨SPLの価値
5.レジェンドカードのレンタルシステム
6.ガバナンスについて
7.ユーザー数について
・デジタルカードゲームとしての評価
1.ゲームシステム
2.環境・メタ
3.カードプールの追加速度
4.アクティブ人数・ユーザー層
・終わりに
以下に続く。
*1:私が購入したタイミングでの値段。通信状況などにより大きく変動します